実質リターン:5%名目が実は3%(その代償)
証券アプリは+5%と言う。スーパーは何でも2%値上げと言う。あなたの退職に本当に重要な数字は両者の差で、ほぼ常にあなたが祝っている数字より小さい。
「実質リターン」が実際に意味すること
実質リターン = 名目リターンをインフレ調整した値。精確な公式:
実質 = (1 + 名目) / (1 + インフレ) − 1
5%名目で2%インフレなら 2.94%実質。だいたい3%。利率が高くなるほど公式の精度が問題になる。
ショートカット「リターンからインフレを引く」は低利率では使えるが、高利率では明らかに間違う。10%名目で7%インフレなら、ショートカットは3%、実質は2.8%。今日小さな誤差、規模が大きくなれば測定可能な誤差。
30年でどれくらい開くか
1,000万円を30年、証券口座が表示する vs 実際買えるもの:
| シナリオ | 名目残高 | 実質購買力 | 差 |
|---|---|---|---|
| 5%リターン、0%インフレ | 4,322万 | 4,322万 | 0 |
| 5%リターン、2%インフレ | 4,322万 | 2,386万 | −1,936万 |
| 5%リターン、3%インフレ | 4,322万 | 1,775万 | −2,547万 |
| 8%リターン、3%インフレ | 1億63万 | 4,128万 | −5,935万 |
最後の行が最も重要。「米国株は10%リターン」と聞いて1億63万で計画する人。30年後実際使えるのは約4,128万。2.4倍ずれる。
これは丸め誤差や脚注じゃない。「ゆとりある退職」と「70歳過ぎても働く」の差。
5% vs 8%の混乱
金融記事が「株は5%リターン」と言うとき、通常は長期実質リターンを指す。「8%」と言うとき、通常は名目を指す。両方とも正確;同じデータを別のレンズで見ているだけ。
問題:ほとんどの記事はどちらを指しているか言わない。だれかが「歴史的リターン8%」を読んで、退職予測にインフレを引かずに使う、結果は静かに2倍楽観的になる。
デフォルトルール:30年以上の予測で、実質か名目か明示せず8%リターンを使うなら、その予測は間違っていると仮定。5%実質で再計算するか、8%名目で2%インフレドラッグで計算する——両方とも実質金額は同じになるはず。
1973年オイルショックの日本がポートフォリオに何をしたか
日本の1974年消費者物価指数:23.2%。この前後の高インフレ期、株式名目リターンは正の年もあったが、購買力は失われた。預金金利5%でも、年7%インフレに対して実質マイナス。
これが「現金安全」への歴史的反例。現金は数字を守る。インフレは数字の裏の価値を食べる。両方とも同時に正、「安全」はあなたがどちらを気にするか次第。
何ができるか
3つ、効果順:
- 常に実質で計画する。 計画時は実質リターン率(分散株式 3-5%、債券 0-1%、現金 ~−1%)を使う、名目を使わない。出てきた数字こそ使える数字。
- インフレに勝つ資産を持つ。 分散株式、不動産、必要なら債券部分は物価連動国債。長期名目債や過剰現金を避ける。
- 「高利」預金を「利」と読み直す。 0.5%預金で2%インフレは、−1.5%預金。代替品の4倍に見えて、実は代替品の0.25倍。
このフレームワークの前提
このフレームワーク全体は、インフレが予測可能な長期平均で動くと仮定。現実はもっとデコボコ:
- インフレレジームは変わる。 1990-2010年代の0%付近はレジーム、保証じゃない。2022年以降の2-3%が次のレジームかもしれない。
- 個人インフレ ≠ CPI。 医療、教育、住居重い支出なら、個人インフレ率がCPIより1-2%高い可能性。それで計画する。
- 平均 ≠ 順序。 30年で平均5%実質達成は順調なリターンを意味しない。良い年悪い年の順序は非常に重要、特に退職近く(順序リターンリスク)。
計算機は両方表示する
それが複利計算機のインフレ切替の全要点。派手な名目数字と現実的な実質数字を並列表示。両者の差こそ、計画の基準にすべき数字。
5%リターン / 2%インフレで開始。実際の資産構成と日本の今後30年インフレへの正直な読みに基づいて両方を調整。